人差し指を唇にあてて…
「桜ー。どういう事なの? 説明してよ、なんでこんなイケメンくんと知り合いなのよ」
親友の茜に無理矢理頭をあげさせられ肩を思いきり揺らされる。
私の事より瞬のことを聞くんだ、と頭では違う事を思いながらこの場の回避方法を考えていた。
瞬危険。茜のイケメン好きに捕まったら大変だよ。
というのを眼力で伝えたがうまくいったかどうかは分からない。
「あのね、私が瞬が道に倒れているところを助けたの。それからずっとうちで暮らしているわけ。で、それ以来瞬は私の事を命の恩人だからって私の執事になるとか言い出してこういう事になったわけ」
私は真っ赤の嘘をついた。
クラスメート達は私の嘘にうんうんと頷いたが茜だけは違った。
「じゃあうちにおいでよ」
またもや茜のイケメン好きが炸裂した。
茜はイケメンなら誰でも所有したがるのだ。
「ぜってぇ嫌」
瞬が敬語じゃなくなって一瞬茜はびっくりしたようだけど瞬は勤務中以外はたいていこの口調だ。
「うちにきたら執事なんかしなくていいし、のんびり好きに暮らしていいのよ」
茜の甘い声の囁きにものともせず瞬はぴしゃりと断った。