人差し指を唇にあてて…
中学生になった私は執事という人を決めなければならなくなった。
執事は私と一番長く接する人だから慎重に決めなさいと言われたけど、私は迷わずに瞬を指名した。
そして瞬は私の執事となるとともに変わった。
いつも敬語だし、私のことを様付けするし、執事の勉強があるからっと言って一緒に遊ぶこともなくなった。
...そんな生活になったからかな。
ある日私は瞬が仕事があると言って、戻ろうとしたときに無理矢理ひきとめたことがあった。
当然瞬はやめてくださいと反論したが私は何気なくその口を人差し指で塞いだ。
すると、瞬は口を接着剤で貼付けたように開かなくなって、うーと唸りはじめた。
私は何が起こったか分からず、もう一度瞬の口を人差し指で触れると簡単にあいた。
それからは私の人差し指が怖くなったのか瞬はできるだけ私の願いを叶えてくれた。
けれど瞬はそのおかげでほぼ毎日徹夜していたというのを聞いて私はもう瞬に我儘を言うことはなくなった。
そんな事があってからも瞬は私の執事でいてくれたけどその他の事は別々だった。
執事なんて四六時中ずっと一緒にいてくれるものだと思っていた。
だから瞬を指名したのに。
私はただ瞬と一緒にいたかっただけだ。
だから一度も瞬を執事だからって何かを命令したことはないし何かをしてくれと頼んだこともなかった。
ただ側にいて、と。
それだけが私の願いだったから...