人差し指を唇にあてて…

そしてつい1ヶ月ぐらい前、私は初めて瞬とお嬢様と執事という関係以外の関わりをもつことができることを知った。


「瞬が桜の学校に転校することになったんだ」


お父さんからその話を聞いたとき、うれしくて理由を聞くことをすっかり忘れていた。



今思えば何故あのとき理由を聞かなかったんだろうと後悔する。



瞬から転校するという言葉を一言も言われずにその転校の日を迎えた。


もしあの時お父さんに転校のこと言われてなかったらパニックをおこすところだったかもしれないが、私はあの朝、瞬の制服を見てもいつも通り平静を保てたと思う。

これはやはり次期社長という立場から身に付いたものだろうが、心の中ではとても動揺していた。


一番仲良いと思ってたのに、


一番信頼してるのに、



瞬にとって私はただの我儘なお嬢様なのかな?
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