人差し指を唇にあてて…
「いえ、今は勤務中ですので。
桜様、勇輔様とお話もよろしいですがそろそろ召し上がらないと遅刻してしまいます」

私ははっと時計を見て,慌てて瞬が用意してくれたフランスパンをちぎる。

「では制服に着替えてきます」

瞬はそう言って食堂をでて行った。


「桜、そんなに急いで食べなくても」

お父さんと二人きりになった食堂でお父さんは呆れた表情をしていた。

「だって…遅刻しちゃう」

私はコーンスープをゴクンと飲み込んでから答える。

「よし、なら今日は私が送っていこう。それなら遅刻はしないだろ?」

私はお父さんの言葉に目を見開いた。


「本当? ありがとう」

「親としてできるかぎり子供と一緒にいたいからな」

お父さんがそう言ったと同時にノックの音が聞こえ、瞬が戻ってきたのかと思い、扉のほうに視線を向ける。

ところが入ってきたのは瞬ではなく、お母さんだった。

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