人差し指を唇にあてて…
「勇輔様が?なら僕はお邪魔ですのでご遠慮させていただきます」
「邪魔じゃないから。一緒に行こう?」
「ですが…勇輔様は桜様と二人のほうがよろしいかと…」
それ以上瞬の言葉を言わせないために私は瞬の口に人差し指をあてた。
人差し指を口から離すと瞬はもう口を開かなかった。
瞬の心は”無”になって断る意味すら忘れてしまったのだ。
...これは私の秘密の魔法。
私が人差し指をその人の口にあてれば心を落ち着かせ、考え事を一時忘れることができる。
あんまり使ってはいけないんだけど今日はしょうがない。
遅刻がかかってるんだから。