Call My Name
俺は室内にある掛け時計に目をやった

俺のいなくなった教室を想像すると、俺は自嘲の笑みを浮かべた

きっと平和なんだろうなあ

俺のいなくなった学校は…

静かで、淡々と過ぎていっているんだ

俺がいなくなったからって、別にどうってことのない日常になっているのかな?

俺はコピーした用紙を、頼んできた女性職員に渡すと、デスクに戻った

俺も真面目になったもんだな

兄貴の授業をサボって、図書室で寝転んでた俺が…毎日きちんと仕事をしている

手抜きを考えるばかりの毎日だったのに、今じゃ…どうすれば効率よく仕事ができるかを考えてる

変わったな

人は社会に出ると、一人前になれるのかもしれない

一人で暮らして…自然に一人で生きていくコツを学んでいくのかもしれないな

そうせざるを得ない状況になれば、人は嫌が負うにも変わっていけるんだ

「あ…」

俺は財布をスーツのポケットから出すと、一枚の紙を取り出した

「やべっ。今日までだった」

予約した本の取り置きの日付が今日までになっていた

スイレンの家の本屋に、予約してあった本だ

売上貢献しろっていうツバキの命令通り、俺は今でもスイレンの実家で、本を購入している

仕事場からも、俺の住んでいるアパートからも離れた本屋だけど…本を買うときはスイレンの家に行っている

品そろえもイイしな

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