Call My Name
スイレンの肩が小刻みに震えているのがわかった

「これって、夢?」

スイレンが小さな声で呟いた

「現実だよ」

「だって…立宮君がいるんなんて」

「頼んでいた本を取りにきたんだ」

「そっか」

「ああ」

俺のコートをぎゅっと掴んでから、スイレンが顔をあげた

鼻頭が赤くなっている

「予約票、見せて」

俺は微笑むと、財布から小さな紙を取り出した

「今、用意するから」

俺に背を向けたスイレンが、レジの後ろにある棚から俺が予約した本を探し始めた

俺はスイレンの髪に指を絡ませた

「髪…元の色に戻したんだ」

俺の言葉に、スイレンの肩がびくっと跳ねた

「ん…立宮先生にバレちゃって。他の先生に気づかれたらいろいろと煩いかもって…」

「そっか。似合ってたのに」

「立宮君だって…黒くなってる」

「ああ…一応、働いてるし」

「スーツ姿、格好いいよ」

「サンキュ」

スイレンが棚から本を引き抜くと、俺のほうに向きなおった

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