Call My Name
第九章 チョコの奇蹟
『2月7日、家に帰って来なさい』

親父から、珍しく携帯に電話があったと思ったら、家に帰れコールだった

俺の携帯って、ホント全然、鳴らない

俺のアドレスを知ってるヤツが少なすぎるんだ

家族と瑞那とナデシコだけ

あとは誰も知らない

誰にも言っていない

仕事の奴らにも、バイトの奴らにも…青族の連中だって、俺の携帯を知らない

「行く気がしねえなあ」

ベッドの布団の中で、俺は身体を丸めた

面倒くせえなあ

せっかくの日曜だってのに、家に帰るだけって虚しい

…て、いつもどこにも出かけずに、青族の奴らとツルんで馬鹿なことをしてたり…執事喫茶のバイトしてたり…

まあ、『せっかくの日曜』と言っても、ろくな使い道はしてないんだけど、な

親父はどうして俺を家に来るように言ってきたのだろうか?

今まで、一度だって帰ってくるように言わなかったのに

「もしかして帰らなすぎか、俺…」

家を出てから、正月に1日だけ戻ったきりで、家の敷居を踏んでないから…もっと帰ってこいって言う意味があるのだろうか?

それとも他に、話すことがあるとか?

俺と親父がか?

有り得ねえ

何を話すんだっつうの

あんな強面のヤツと面と向かっていたら、胃が痛くてしょうがねえっつうの


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