Call My Name
午後3時、しびれを切らした親父からまた電話があった

帰るのが面倒で、グダグダと溜まった掃除や洗濯をこなし、ダラダラと休憩をはさんでいた俺に、『迎えをやったら、その車に乗ってこい』と

車がここまで来てくれんなら、それもいいかな?

なんて、グータラな考えが過る

駅まで徒歩で行って、そこから3駅ほど電車に乗る

それからまた徒歩で家まで帰るのが、考えるだけ億劫になるんだ

車なら、乗って入れば勝手に家に着くからな

そっちのほうが楽だ

俺はラフな格好にコートを羽織ると、ぼけーっとベッドに座って本の文字を目で追った

車が到着するまで、待っていればいい

すぐ帰る予定でいるし、身軽でいい

俺は、本の世界に入り込んでいると、テーブルに置いてある携帯が鳴った

兄貴からだった

『到着したよ』

「は?」

『え? あれ? 父さんから聞いてない? 僕が景の迎えに行くって』

「いや…迎えを寄こしたからって聞いてたけど、兄貴だったのか?」

『そうだよ。ちょうど仕事が終わったところだったし』

「ああ、そう」

『ここ、道路が狭いから。早めに降りてきてね』

「はいはい。すぐ行くよ」

俺は本を枕もとに置くと、財布をポケットに突っ込んで、携帯とキーケースを手に持って玄関に足を向けた

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