Call My Name
義理チョコってやつね

俺は手を頭から下ろすと、箱を受け取った

「ありがと」

俺は微笑んだ

俺、瑞那にひどいことしかしてねえのに…俺にチョコなんて、金の無駄遣いじゃねえの?

「んじゃ、俺は帰るよー。お疲れぇ」

俺は箱を持っている手を左右に振ると、バイト先の駐輪場に向かった

青と白色の自動二輪に跨ると、紺色のヘルメットをかぶった

退学して、すぐに車の免許をとった

車は持ってねえけど…バイクは親父に買ってもらった

というか、勝手に家に送られてきたっつったほうが合ってるかも

青族のチョーのくせに、バイクも持ってないのは恥ずかしいとかで、親父が即効手配したらしい

黒の革手袋をつけた俺は、バイトを後にした

ポケットの中に入っている小さなチョコの箱を思い出すと、急に胸が苦しくなった

バレンタインに、スイレンに会えただけでも嬉しいことじゃないか

それ以上を、俺が望んでどうするんだよ

満足な一日だっただろ

俺が作ったチョコを、スイレンが食べてくれたじゃないか

それでいいだろ

もう…それ以上を望むなよ、俺

スイレンからチョコが欲しかった…なんて、望むなよ

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