Call My Name
俺は足を半回転させると、大股でスイレンの背後に近づいた

何かを出そうとしているスイレンの動きを止めさせると、俺は布団の上からスイレンを抱きしめた

「帰るなよ。すぐ帰るなんて…言うなよ」

俺はスイレンの耳元で囁いた

「俺、スイレンが好きだ。すげえ…好きなんだ。今夜、泊まって行けよ」

スイレンがコクンと頷くと、膝の上に置いてある箱を俺に差し出してきた

「これ…なに?」

「ケーキ。チョコレートケーキとチーズケーキを……」

スイレンが顔を真っ赤にして、口を動かしている姿がすげえ可愛かった

「サンキュ。嬉しいよ」

俺はケーキを受け取ると、スイレンにキスをしようとした

唇に触れる直前で、ヤカンの甲高い音に俺のキスは寸止めされた

んだよ、いいとこなのに…

俺は立ちあがると、キッチンに向かう

火を止めて、マグカップに熱湯を注いだ

言っちまった

とうとう、俺の本心を…スイレンに言っちまったよ

生きる世界が違うってわかってるのに、我慢ができなかった

俺はマグカップを持って振り返ると、こっちを見ているスイレンに微笑んだ

世界が違っても、スイレンと一緒に居たいよ

俺、スイレンじゃなくちゃ嫌だな

他の女はいらない

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