Call My Name
「キスってコーヒーの味がするんだね」

俺とのキスを終えたスイレンが恥ずかしそうに笑う

「俺がコーヒーを飲んですぐにキスしたからだろ」

俺はスイレンの髪を指に絡めて弄った

スイレンの髪は好きだ

艶があって、良い香りする

スイレンの匂いは、すごく心地良い

ボディーソープとか、香水とかじゃない…スイレン自身の匂い

俺の全身を癒してくれる

仕事とバイトで疲れている身体を一気に、元気にしてくれるんだ

「立宮君って、今……付き合ってる人いるの?」

「は?」

俺はスイレンの質問に、目を丸くした

ついさっきキスしただろ?

スイレンが好きだって言ったのに、何を質問してくんだよ

キスの意味…わかってるよなあ?

「スイレン?」

「あ、ごめっ。もしきちんと付き合ってる人がいるのにこんなことをしてたら悪いって思って」

「ちょ…ちょっと、待て。俺を誤解してるかも…」

「あ、違うの。そうじゃなくて…ごめん。わかってるんだけど、自信がなくて。私と立宮君がって……なんか信じられなくて。だから…その…」

俺は、スイレンを布団ごと抱き寄せた

「悪ぃ。俺、高校んときは荒れたから。退学してから、誰とも付き合ってねえよ」

「荒れてたのは知ってる。にこにこ笑ってるのに、ふと見せる表情が苦しそうだった」

「ずっとスイレンが好きだった。たぶん…俺の名前を呼んでくれた日からずっと…」

スイレンが俺の肩に頭を乗せた

髪が揺れて、ふわっとスイレンの匂いが鼻孔をくすぐった
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