Call My Name
『スイレン、俺の名前を呼んで』

『立宮君…?』

『違うよ。下の名前』

『景』

『そう…もっと呼んでよ。たくさん…俺の名前を呼んで』

『景…景…』

俺は浅い眠りの中で、スイレンに名前を呼ばれた声を思い出す

何度も、何度もベッドの中で、俺の名前を呼んでもらった

すげえ、幸せだった

スイレンの手作りケーキを少しかじって、すぐにベッドに雪崩れ込んだ

俺が我慢できなかった

スイレンが欲しくてたまらなかった

ケーキも食べたかったけど、スイレンも……

スイレンはどの女よりも可愛くて、愛らしかった

離したくないって心の底から感じた

離れたくないって、強く思った

俺は瞼を持ち上げると、カーテンの隙間から洩れる朝の陽ざしに目を細めた

やべえ…スイレンが遅刻しないように送っていかなくちゃ

俺は身体を起こすと、携帯を探した

手の中に携帯を入れると、俺は液晶で時間を確認する

「6時か」

あー、面倒くさいなあ

仕事に行きたくない

スイレンと一緒に部屋でごろごろしてたいなあ

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