Call My Name
寮の前で、俺はバイクから降りたスイレンにキスをすると、スイレンに胸を押された

「景…寮の前じゃ、誰かに見られちゃう」

「いいじゃん」

「良くないよ…噂になるって」

「バレンタインの翌日にスイレンに彼氏ができたって?」

俺がにっこりと笑うと、スイレンが「もうっ!」と頬を膨らませた

不満そうに口を曲げる仕草が凄く愛おしいよ

俺はスイレンの髪に触れると、指に絡ませてキスをした

「景ってば…。朝帰りってだけでも、いろいろ言われちゃうのにぃ」

スイレンが小声で、呟いた

「いいじゃん。言わせておけって」

「クラスメートのサキちゃんの耳に入ったら大変だって。まだ景のこと…好きみたいだし」

スイレンが寂しそうな顔をして言った

サキ…か

あいつに、そんな感情があるとは思えねえけどな

俺に愛とか恋とか、求めてねえよ

ただ…自慢できる男が欲しいだけだろ

「俺が好きなのは、スイレンだよ」

「だけど…」

「黒髪したんだ…俺だってバレてねえって」

俺はスイレンの唇に、もう一度キスをする

何度しても足らないくらいだ

「メールするな」

「うん」

スイレンが頷くと、寮に向かって歩き出した

俺は、スイレンが見えなくなるまで、じっと眺めたあと、ヘルメットをかぶってバイクで走り去った

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