Call My Name
俺は一度、アパートに戻ってから、朝食代わりにスイレンからもらったチーズケーキを食べた

指先についたチーズケーキをぺろっと舐めると、残りを冷蔵庫の中にしまった

「あとは帰ってからのお楽しみっつうことで」

俺はカーテンレールに引っかかっているスーツに手を伸ばすと、急いで着替えた

遅刻しそうだっつうの

「あだっ」

俺はベッドの脇に置いてある雑誌の山に足をぶつけた

その拍子に、見合い写真が雑誌の隙間から出てきた

あ…すっかり忘れてた

「いらねえや。見合いなんてしねえよ」

俺にはスイレンだけでいいんだ

見合い写真の冊子を掴むと、俺はゴミ箱に投げた

「親父には悪いけど…やっぱ結婚は好きな奴としたいし」

俺は携帯を掴むと、スイレンのアドレスを開いた

『これから仕事に行ってくる! 次はいつ会えるかな?』

俺はメールを送ると、腕時計で時間を確認する

「マジ…やべえ。遅刻だ」

俺はコートを羽織ると、家を飛び出した

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