Call My Name
第十一章 揺れる兄弟愛
スイレンとは毎日、メールをした

夜は少しだけ電話をして、スイレンの声を聞く

全く、俺には考えられないくらいの溺れようだな

今まではスイレンのない生活が送れていたのに、今じゃ…スイレンとメールしないだけでも心が落ち着かなくなってる

俺って、こんな男だったか? なんて自分で、自分に突っ込んじまう

スイレンとのメールのやり取りの合間に、兄貴から電話はかかってきた

なんだよ、スイレンからメールがきても電話じゃ…わかんねえじゃん

なんて思いながら、俺は携帯を耳につけた

「兄貴、どうしたの?」

『ん…ツバキが冷たくて』

珍しく兄貴の声が暗いなあ…なんて思ったら、用事はそれかよっ

「はあ? 知らねえよ…んなこと。俺に言うな」

俺はベッドに足を突っ込みながら、大きな声で答えた

『先週は可愛かったのに』

「だから知るかっつうの」

『あと少しツバキは卒業なんだ。そしたら…』

「お互い自由の身だな。堂々と付き合える」

『そう思ったら嬉しくて。ついキスマークを…』

「見えるとこにつけちまって、ツバキにご立腹されたか?」

『あれ? なんでわかるの?』

はあ…スイレンからメールがきてるんだよ!

とは、言えないよな

スイレンとの会話のほとんどは、ナデシコとツバキの話だからなあ

「…てか、なんで俺に言うんだよ」

『話せる人って、冬馬か景しかいないし』

「あ…さいですか」

俺はベッドに横になると、眠い瞼をこすった
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