Call My Name
『ごめん。今日は会えないよ。ツバキの様子が変なの。だから…今日はごめんね』

仕事が終わって見た携帯に、スイレンからそんなメールを目にした

そりゃ、変にもなるだろ

兄貴…なに、考えてるんだよ

ツバキ中心の生活じゃなかったのかよ

何、馬鹿な行動に出てるんだよ

気にしすぎなんだよ

家を継がなかったことを、負い目に感じ過ぎなんだよ

『わかった。今はツバキの傍にいてやれ』

俺はメールを送ると、スーツのポケットに入れた

まずは、兄貴に話を聞かないと、な

俺はふっと笑みを浮かべる

兄貴が簡単に口を割る奴じゃないけど…まあ、粘り強く聞くしかねえよな

「あ、立宮君。今日、飲まない?」

同僚の女子が、俺の腕に絡みつきながら聞いてきた

俺はにっこりと笑うと、首を横に振った

「すみません。今日も用事があるんで」

俺は鞄を掴むと、ぺこっと頭をさげた

「お疲れ様です」と少し大きめな声をあげると、俺は会社を後にした

今の時間なら、学校に行ったほうがいいな

それに話をするなら、家よりも…学校のほうがいいかも…な

家じゃ、誰もが聞き耳を立てているだろうし

兄貴と俺が喧嘩してるなんて思われるのも嫌だしな

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