Call My Name
俺は学校の屋上で、手すりに寄りかかりながら、煙草をふかした

白い煙がゆらゆらと立ち上る

兄貴にやめて欲しいと言われたのに、いつ間にか口にまた咥えるようになってた

口、寂しいんだよ

手持無沙汰すぎんだよ

どうしていいか、わかねえんだよ

親父の息子としてやるべきことがある

俺のやりたくないことがある

将来のしがらみが、途端に苦痛になる

親父の気持ちはわかる

兄貴の気持ちもわかる

…だから、俺は…

俺の生きるべき道を選んだ…つもりだった

それがこんなにも苦痛で、痛みも伴うなんて思いもしなかった

くるっと半回転すると、俺は手すりに背中を預けて、空を見上げた

どこまでも青い空に、俺は吸い込まれそうになる

「兄貴の授業だからって、毎回毎回にサボってんなよ」

バタンという鉄の重いドアが閉まる音がすると、男の低い声が聞こえた

数学教師の崎 冬馬が俺ににやりと口を緩めて笑った

「崎 冬馬だ」

「呼び捨てすんな」

崎先生が俺の頭をバシッと平手で叩いた

俺は鼻をフンと鳴らすと、コンクリートの地面に視線を落とした

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