Call My Name
「サキの言う通りだったなあ。これじゃあ、サキが独占したくなるのがわかるわあ」

下着姿の女が起き上がると、そそくさとワイシャツを着てネクタイを締めている俺の背中に抱きついてきた

「やめろ」

「冷たいところもいいよね」

俺は女の腕を払うと、立ち上がった

ブレザーに袖を通すと、女を放置したまま、屋上を後にした

ああ…自己嫌悪

サイテーだ

最悪だ

ホント、マジで…俺、何がしたいんだか、俺自身がわからねえ

どうしたいんだよ、俺…

俺は階段を駆け降りると、教室の前を通り過ぎて図書室に向かった

屋上はもう無理だ

あの女がどうせ着替えて教室に戻って、俺が屋上にいたことをみんなにばらすんだろうか

んで、きっと自慢をするんだぜ

抱かれたのはサキだけじゃねえって

俺は図書室に入ると、一番奥の日当たりのよい場所に向かった

適当に本を引き抜くと、床にごろりと横になって、顔の上に本を置いた

もう…誰とも話したくねえ

もう、俺を放っておいてくれ



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