Call My Name
少しウトウトした…と思う

寝がえりを打ちながら、顔の上にあった本がどさっと落ちるのをどこか遠くで感じる

べつに本くらい、どうってことない

あ、いいとこに本が置いてあんじゃん

俺は脳天に軽くぶつかった本の上に、瞼を閉じたまま頭を乗せた

ちょうど良い高さの本の積み上げ具合に、俺は寝心地の良い個所を身体を回転させて探す

陽があたっていた本は、ちょうど良い温かさでまるでひと肌だ

心地よさに俺は再び、眠りに落ちる

久々に深くまで落ちた気がする

意識が戻ってくると、俺はうっすらと白い世界を呆然と眺めた

もう少し寝てようかな

もう一度瞼を閉じようとしたところで、俺のこめかみに何かが触れる感触があった

俺はぱっと視線を持ち上げると、スイレンの顔が間近にあった

「え? あ……」

俺はぽかんと口を開けて、寝起きの頭をフル回転させる

俺は…今、何をしてるんだ?

ああ?

俺はスイレンの太ももを枕にして、寝ていた?

枕は本じゃなかったのか?

しかも、俺は、スイレンの細い腰に抱きついているじゃねえかよ

慌てて、俺はぱっと手を離すと、身体を起こしてスイレンから離れた

「わ…悪りぃ」

俺は髪を掻きあげると、喉を鳴らす

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