Call My Name
兄貴の補習授業を終えると、俺は、瑞那の言っていた『セイちゃん』と『リンちゃん』の元へと向かった

二人の彼氏であるクラスメートの携帯にあっさりと出た『リンちゃん』に居場所を聞く

彼氏が迎え来ると勝手に思い込んでいた女二人は俺の顔を見て、唖然としていた

「あの…」

『セイちゃん』とやらが、無言でテーブル席の椅子に座った俺に声をかけた

「なに?」

俺は顔をあげて、『セイちゃん』と『リンちゃん』を見る

「もしかして…立宮先輩ですか?」

『リンちゃん』が、少し嬉しそうに笑う

「ああ、そうだけど」

「やっぱ。え? どうして、ここにいるんです?」

『セイちゃん』が口元に手を置いて、嬉しそうに肩を揺らしていた

「金」

「は?」

二人が同時に声をあげて、首を傾げた

「ここに来るために…巻きあげた金、明日まで本人に返せよ」

俺は足を組むと、じろっと二人を睨んだ

「え? お金ってなんのことですか?」

『リンちゃん』が知らないふりをして、腰をクネクネと動かした

「別にいいけど。シラを切るなら、それでも。明日まで瑞那に返さなかった場合、俺…あんたたち二人をボコるから。女だろうが、関係ねえ。痛い思いしたくないなら…わかるよな?」

俺はそれだけ告げると、席を立って店をでた

誰かを騙して得た金で、自分たちだけの至福に使うなんて…俺は好きじゃねえ

…て、ヤクザの息子が言っても、何の説得力もねえけど

だけどさ

嫌なんだよ、そういうの…嫌いなんだ

好きじゃねえ

『ごめんなさい』と必死に謝る瑞那の今にも泣きそうな顔を思い出した
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