Call My Name
「誰かに泣かされた?」

どうせ、菅原なんだろうけど…どうして、こんなところで蹲ってるんだよ

鞄が落ちてるよ

なんで地面に鞄が落ちてるんだよ

何が、あったんだよ

「あ、あれ? 電車で帰ったんじゃ…」

瑞那が、鼻声で口を開く

ああ、泣きそう…なんじゃなくて、もう泣いてたんだな

ごめん

そこまでは気付けなかった

「途中で面倒くさくなっちまって…家のヤツを呼びつけたんだ。んで、車の中で瑞那が泣いてるのが見えて…て、誰がやったんだ? 怖い思いをさせられたんだろ? やっぱ俺が、家まで送れば良かった」

「ちが…違います。ちょっと、幼馴染と言い合いになっちゃって」

「菅原か。忘れちまえよ。あんなヤツ」

そうだよ

忘れちまえよ

俺が、愛してやるから…瑞那を愛してやる

「え?」

「好きなんだろ? 俺といたほうが、瑞那が笑って過ごせる。俺が瑞那を幸せにしてやるから」

俺は座り込んでいる瑞那の肩をぎゅっと抱きしめてくれた

俺も寂しいんだ

瑞那に、癒してもらいたい

俺も誰かに愛されたいんだ

本当に好きなヤツとは…一緒になれない者同士、愛し合おう

瑞那が俺の制服の裾を掴むと「はい」と返事をした


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