ケータイ小説ストーカー

「もうケータイ小説家になる事は諦めて、これからは趣味として書いていこう」

そう言葉を吐き出すと、萌絵の気持ちは一気に軽くなった。


オリジナリティを追及しようとしていた為、ランキング上位の作品は敢えて読まなかった。

それは、読みたくなかった訳ではなく、気にはなっていたものの意図的に読まなかっただけだ。


"馴れ合い"と言われる事が嫌で、読んだ作品に感想を残す事も控えてきた。

だけど、他の作家とコミュニケーションがとりたくなかった訳ではなく、親しく話をしてみたいと思う作家はいたが、仕方無く関わらない様にしてきた。


「う~ん…今日からは、ケータイ小説文庫を楽しめるぞお!!」

萌絵は晴れやかな表情で大きく背伸びをすると、携帯電話を覗き込んだ。


萌絵のケータイ小説家になりたいという強い思いは、本人が気付かない内に、重い足枷になっていたのだ。


.
< 11 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop