ケータイ小説ストーカー

同じ時刻――

同様に下校していた萌絵は、駅への道を歩きながら携帯電話を覗き込んでいた。


「何て書けば良いんだろう…」

花音の書いた小説に感想を記入しようと感想ノートを開いたものの、一体何を書けば良いのか分からなくなっていた。

どうでも良い…と言えば語弊があるが、それほど思い込みの無い作家や作品に対する感想はいくらでも思い付くものの、気持ちが入り過ぎずに書けないでいたのだ。


軽いノリで書けば嫌われそうだし、だからといって重過ぎる内容も気味が悪いに違いない。

「はあ…」


重い足取りで電車に乗り込み、空いている席に座る。

参考までに他の人の感想を読んでみるが、どれもこれも似たり寄ったり。

これだと、その他大勢の読者と変わらない。「私はこんなに好きなんです!!」と伝えたい。


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