ケータイ小説ストーカー

萌絵が授業時間さえも使いレビューを考えていたのには、他にも理由があった。

萌絵は大勢いるファンの中で、自分が一番になりたかった。"一番大切なファン"という地位が、どうしても欲しかった。

その為には、栞にだけは負ける訳にいかなかったのだ。


萌絵は何度も読み返し、何度も書き直し、6時間目の授業が終わると同時にようやくレビューを仕上げた。


下校途中、萌絵は駅構内にあるベンチに座り、鞄から下書を記入したノートを取り出した。

そして、ケータイ小説文庫にアクセスし、レビューを打ち込んだ。


16時過ぎから17時前後の間は、同年代がサイトにアクセスしている可能性が高い。そう萌絵は考えていた。

自分の様に下校途中に読んだり、塾までの時間潰しに読む人が多いと思っていたのだ。


どうせレビューを書くのなら、目立つ時間帯にアップした方が効果が大きい。

萌絵は花音の為に、そこまで気を配っていた。


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