ケータイ小説ストーカー
その頃――
萌絵はケータイ小説文庫を退会したものの、未登録のままで花音の動向をチェックしていた。
あれ程までに入れ込んだ花音を、そう簡単に忘れ去る事は出来なかったのだ。
それに、あの日から1週間が過ぎ、1歩下がって監視する事により、萌絵もまた学習した。
自分が積極的に活動する事は、花音にとってメリットもあるがデメリットもある。場合によっては、デメリットの方が大きい事さえある。
あの時花音が栞を擁護した事も、分からなくはない。
もう十分に花音は人気作家になった。これからは、心の支えとして陰ながら応援していこう。
春野ツクシ――
この名前で萌絵はケータイ小説文庫に再登録し、花音のプロフィールにアクセスすると、迷わずファンボタンを押した。
「これでまた、私は花音さんのファン…」
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