ケータイ小説ストーカー
3月1日――
特集が切り替わるこの日、花音は朝から落ち着かない時間を過ごしていた。休憩時間になると携帯電話を開き、ケータイ小説サイトにアクセスした。
そしてついに4時間目の授業が終わり昼休憩になった時、携帯電話を覗き込む花音の目に、特集スペースの桜と卒業特集の文字が写った。
卒業特集の文字をクリックすると画面が切り替わり、特集に選ばれた作品が並ぶ。
その一番上に、「もう二度と会えない」というタイトルと共に、桐島 花音という作家名。
携帯電話を持つ花音の手に力が入る。
特集に選ばれる作品は毎回3作程度。その一番上に名前が載るという事は、それだけ人目に付く事が多いという事だ。
しかも卒業特集。
タイムリーで切ない特集だけに、読む人も多い筈だ。
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