ケータイ小説ストーカー

ツクシからの返信を読み、花音の目からは大粒の涙が溢れてきた。

自分を見捨てたファン。早々に切り捨てる読者。その中にあり、ツクシだけは変わらずに応援してくれると言う。

花音でなくても、ドン底で優しい言葉を掛けられれば、真偽など確かめる事などせずに受け止めるだろう。


実際、あれ程信頼していた雑談掲示板のメンバーも、栞を除いては書き込みをする頻度が明らかに減少した。

所詮はたかがインターネット。お互いに顔すら知らないのだから、例え危険な場所から逃げ出しても心は痛まないのだ。


花音とツクシの信頼関係が強くなる一方で、才蔵を名乗るツクシの行動は衰える事は無かった。

花音に対する辛口レビューとBBSへの積極的な参加で認知された才蔵は、次の手段としてエッセイを書き始めた。


「作家のあり方について」


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