ケータイ小説ストーカー

感想ノートでの論争が激しくなれば、正義の使者ぶって必ず通報する者が現れる。そこが、才蔵の退会するタイミングだ。

ツクシは一人芝居を続けながら、通報者の登場を待った。

合図は、感想ノートの強制削除だ。


その時は、意外に早く訪れた。

飛び入り参加した他の利用者達に、2度目の返事を書こうとしていた時だった。

「管理者により削除されました。」の表示が目に飛び込んできたのだ。


「やっとか…」溜め息混じりにツクシは呟いた。

サイトスタッフによる強制削除が実行された後ならば、逃げる為に退会したと傍観者達も思うに違いない。


その状態で一晩放置し、皆が確認するであろう朝の通勤通学時間が過ぎた頃を見計らい、ツクシは才蔵を退会させた。

ツクシが勝った――花音の目には、そう写ったに違いない。


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