天使の羽が降る夜に


もしかしてピアスから聞こえてきた舜の声は・・・

『何、俺との約束を破ってるんだよ』

じゃなくて

『何、俺にやきもちやいてんだよ』

だったのか・・・・。


だあああああああ。

ものすげぇ・・・かっこわりぃぃぃぃぃぃぃいい!!



チラッと未紅を見ると

「フフフッ」

笑ってる・・・。


そりゃ亮介がニヤつくわけだ。

恥ずかしすぎるぞ!・・・・俺!!



「それに、聖夜は勘違いしています」

「勘違い?」

美紅はそっと俺の手を握る。

「私はもうとっくに・・・聖夜が好きだったんですよ?」

「え!?」

美紅の表情が少しだけ困惑しているのがわかる。

「・・・舜が私の記憶を戻してくれたとき、昔の気持ちもそのまま戻ったんです」

「うん?」

「昔私は聖夜が・・・好きでした」

「ええ!?」

そうだったのか。

「聖夜はパートナーとしか見てくれていませんでしたが・・・」

「・・・すまない」

「いえ。その気持ちも戻ってきて・・・でも舜を好きだった気持ちも残っていたんで・・・ちょっとパニックになってましたけど」

「・・・・おぅ」

「聖夜が昔のままだったら・・・きっと舜の事をずっと思い続けていたと思います」

「・・・・・」

「でも、聖夜は私を好きだと言ってくれた・・・・だから、舜の事は思い出にしたんです」

「・・・そうか」

俺は馬鹿だな。

「宙君のことは舜と重ねて見ているわけではありません。でも成長を見守りたいという気持ちもあるんです」

「そうか」



『未紅を信じろ』

舜の言葉を思い出していた。

本当にその通りだな・・・舜。







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