天使の羽が降る夜に
「じゃあ、条件だすよ」
「条件?」
な、なんだろう‥‥舜は無理なことは言わない人だけど。
「そ。ここにいるときは姿を見せて」
ニコッと笑う。
「え!」
「それで、人が来たら消えて」
ええええ。‥‥前言撤回。無茶ですよ。そんな器用なこと‥‥だって不器用なのに~。
「そ、そんな器用なことできるかな・・・」
「ノックが聞こえたら消えろよ。消えたのを確認して俺返事するから」
「で、でも‥‥」
「とりあえず、俺の右斜めのあたりは入口から視覚になるからそこに居たらいい」
「わ、わかった。やってみる」
自信ないけど‥‥。
「おう」
本当に何考えてるのか分からない人だな・・・・。
笑顔とか・・・かっこいいけど。
・・・・ハッ・・・また!
すぐかっこいいとか思っちゃうんだから!!
ダメだって思ってるのに・・・。
『未紅とだったら恋が出来そうだなって思って』
あの言葉が本当だったら・・・・・・ううん。ダメだよね。
私は天使・・・舜はもうすぐ魂になる人間。
どう考えても・・・・・どうにもならない。
舜を見ていると、看護師さんに人気があるのが分かる。
そして舜がニコッと笑うと・・・・惚れますな・・・。
絶対舜は分かっててやってる・・・確信犯だ。
看護師さんたちの話を聞いていると
「ねぇ、306号室の沢田君・・かっこいいよねー」
「わかる~。にこって笑うと可愛いの~」
「ありゃ~、モテるよね・・・・病気さえなけりゃ薔薇色なのにね・・・」
「そうねぇ。もったいないわよねー」
「あ、次の検温私行こうっと」
「え~、ずるい!」
・・・モテすぎだよ。沢田 舜。
そして
「舜君のお兄ちゃんもかっこいいんだよねー」
必ずお兄さんの話題も出てくる。
「あ~、暁君でしょ?」
暁って言うのか・・・まだ会ったことないや。
「今医大生よね?・・・楽しみだなぁ」
「・・・でも、彼女いるって話よ?」
「そんなのどうでもいいのよ・・・目の保養よ。目の保養!」
だからモテすぎだよ・・・沢田兄弟・・・。