天使の羽が降る夜に
話題が変わる。
「そういえば、洸ちゃんとかさと君とか元気なの?」
「おう、洸一も聡もそのうち顔出すって言ってたぞ」
「ふうん」
「聡は、お父さんにビシビシやられて、なんとか弁護士らしくなってきたぜ?」
「へぇ、あの何考えてるか分からない、さと君がね~」
その言葉を聞いて、2人ともくすくす笑う。
「洸一は香奈枝をお嫁さんにするのに、両親が反対して大変なことになってる」
「ええええ!意外・・・洸ちゃんはもっとスマートな生き方をすると思ってた」
「まあ、そう思うよな・・・香奈枝を嫁に出来ないんだったら会社をつがねぇ!って言ったらしいぜ・・・」
「そりゃ、重症だ・・・」
「そうだな」
「おじさんも大変だね・・・。」
「皆それぞれ大変だよね」
「ところで、兄貴と純ちゃんは結婚しないの?」
舜の質問に慌てる2人。
「お、おま・・何言ってんだ!」
「なんで?・・・そのつもりなんでしょ?」
暁はちらっと純を見る。
純は顔を真っ赤にして下を向いているだけだ。
「まぁ・・・いずれは・・・な」
暁の言葉にバッと顔を上げる純。
「そ、そうなの?」
「は!?俺は純以外考えてないけど?」
「・・・あ、ありがとう」
また下を向く純。
「お、おう・・・」
照れる暁。
「・・・君たち・・・ここをどこか忘れてないかい?」
少しあきれながらニヤニヤしている舜。
「舜が聞くからだろうが!」
ふふっと舜は笑う。
「でも、まぁ、それを聞いて安心した」
と小さく呟いた。
「は?」
「いやいや、こっちの話」
暁が時計を見て
「あ、やべ。そろそろ行くわ」
と言うと、
「じゃあ、私も・・・舜君また来るね」
と純も立ち上がった。
「うん、2人共ありがとう」
2人は手を振って病室を出た。