天使の羽が降る夜に
「出てきていいぞ」
舜の声で私は姿を見せる。
「大体分かった?」
舜が未紅に聞く。
未紅は、3人を見ていて感じたことがあった。
「うん。・・・ねぇ舜」
「あ?」
聞いていいのか迷ったけど
「舜の好きな人って・・・純さん?」
思い切って聞いてみる。
・・・違って欲しい。
勘がはずれであって欲しい。・・・だけど、こんなときの勘は良く当たる。
「未紅のくせに良く分かったな・・・。」
そう言って笑う舜はどこか寂しそうだ・・・。
「好きって言うよりも、憧れかな・・・」
「憧れ?」
「一番最初に純ちゃんに会ったのが、小学校5年のときで」
「うん」
「俺はずっとこの病気と付き合っていかなくちゃいけなくて、周りに迷惑を沢山かけてて、何で生まれてきたんだろうとか、俺だけどうしてこんな病気なんだろうってずっと考えてたんだ」
「・・・うん」
「母親に言えば泣かれるし、兄貴に言ってもそんな事気にするなって言われるし、医者や看護師は体力が付いて手術が成功すれば皆と同じようになれるって・・・でも俺の欲しかったのはそんな言葉じゃなくて・・・」
「舜」
「その質問を初めて会った純ちゃんにしてみたら・・・生まれてきてくれてありがとうって言われた。・・・その言葉が凄く嬉しかったんだ。・・・俺は俺でいいんだって。・・・そこからずっと憧れてきた人なんだ・・・幸せであって欲しいって思う人なんだ・・・俺じゃ幸せにできないからさ・・・」
私は思わず舜を抱きしめていた。
「未紅!?」
舜の驚くような声が聞こえる。
「・・・なんだよ・・・泣いてんの?」
「・・・泣いてないもん・・・」
「・・・そう?」
そう言いながら、私の背中をポンポンとしてくれる。
・・・もう・・ダメ・・・。
・・・・舜が・・・・す・・・き・・。
もう、抑えられない・・・。
私は・・・舜が好き。