天使の羽が降る夜に
舜の病室をでた洸一と聡は車の中にいた。
「なあ、舜て本当にヤバイの?」
聡が洸一に聞く。
「ああ、暁が言ってたから間違いないだろ?」
「あんなに元気そうなのにな」
2人でため息を吐く。
「舜はいつ発作がおきてもおかしくない状態だって、そして発作が起きれば間違いなく亡くなるんだって言ってたよ」
「そんなに悪いのかよ・・・」
聡は驚きを隠せなかった。
「俺、舜に好きな子できたって聞いて・・・泣きそうになったよ」
洸一の言葉に、聡は涙が抑えられなかった。
「・・・うん・・・おれぼ~」
泣いている聡の肩に手を置く洸一の目頭も熱くなっていた。
「泣くな聡。・・・舜の恋がうまく行くように祈ってやろうぜ?」
「うん、うん。・・・舜の初めての恋・・・うまくいくといいな・・・」
「ああ、そうだな」
複雑な思いを抱えながら洸一は車を運転する。
「・・・舜てさ、自分の時間が短いこと知ってるのかな?」
「え?何でそう思うの?洸」
「いや、帰りがけに「兄貴のこと、これからもよろしく」って言ってたから・・・」
「ああ・・・舜は小さい頃から勘の鋭い奴だったから、俺たちの変化に気が付いているのかもな・・・」
「・・・だな。・・・舜はすげぇよ。・・・強いし優しいし。俺も見習わなくちゃな」
「うん。俺も・・・・」
2人はただただ、舜の幸せを祈るしかなかった。