天使の羽が降る夜に
「なんで泣いてるの?」
未紅はその場から動かない。
「舜」
「なに?」
「私のこと・・・す・・・き・・・?」
真っ赤になって目を思いっきり瞑って聞く未紅。
可愛いなぁ。
「ああ」
俺が返事をするとバッとこっちを見る。
「本当・・・?」
「うん。・・・未紅・・・こっちきて?・・・抱きしめたいんだけど」
そっと未紅が近づく。
俺は腕をつかむと未紅を抱きしめた。
「・・・ごめんな。俺から言うつもりだったのに・・・未紅に言わせちゃったな」
俺の腕の中で首を横に振る未紅。
「・・・言わないつもりだったんだ・・・だってもうすぐ魂になるのに迷惑かなって」
「そんなこと・・・」
「でも・・・言ってよかった。俺幸せだ。好きだよ、美紅」
「舜、舜。私も‥‥好き、好きぃ」
必死で気持ちを伝えてくれる美紅が可愛くて、嬉しくて、ドキドキして。
こんな気持ち初めてだ・・・・。
人を好きになるって・・・その人も俺のことが好きって・・こんなに幸せな気持ちになるんだな。
・・・でも。
「未紅。・・・ごめんな」
「・・・な・・んで・・?」
「好きになってごめんな・・・俺、お前を悲しませる未来しかないのに・・・」
長く一緒にいられるわけじゃない。
「それは・・・私も一緒だよ・・・こんなドジな天使に好かれるなんて・・・私こそ・・・ごめんね」
「・・・じゃあ、おあいこだな」
2人でクスクスと笑う。
・・・でも、未紅。
俺は魂になるけどお前はこれからも天使として頑張って行くんだぞ?
俺との事が・・・お前の心に傷になって欲しくない。
気持ちを伝えられて幸せだけど・・・本当にこれで良かったのか?
だけど、腕の中で幸せそうにしている未紅を見ると、今はこの幸せだけを考えたいって気持ちにもなる・・・。
もうすぐ、俺はいなくなるけど・・・沢山笑顔をみせてくれな。
俺は幸せな気持ちと不安な気持ちで未紅を抱きしめていた。