天使の羽が降る夜に
純は病院をでると暁に電話をかけた。
涙が止まらなかった。
『もしもし?純?どうした?』
「あ、暁・・・今大丈夫?」
『うん・・・泣いてんのか?』
お互いが家への帰り道だった。
そして途中の公園で会う約束をして電話を切った。
純のほうが先に着いて、ベンチに腰をかけて待っていると暁がやってきた。
「純、どうした?」
暁をみて腕にしがみつく
「舜君・・・好きな子・・・できたって・・・」
「え?・・・」
「こ、告白・・・するんだって・・・思いを頑張って・・伝え・・るんだって・・」
「・・・そうか」
「わ、私にも・・・好きだったって・・・・暁と・・・幸せに・・なって・・って・・・」
純はそのまま泣いた。
「・・・純。・・・やっと好きになれる子が見つかって、今きっと舜は幸せなんだよ・・・」
「ううっ・・・っ・・・」
「こんなときに・・・こんな状態でなかったら・・・もっと喜ぶことができたのにな・・・」
暁は純を抱きしめた。
「まだ、舜は生きてる・・・。」
「・・・・うん」
「あいつが幸せであることを・・・・祈ろう・・」
いつ亡くなってもおかしくない状態で・・・今一番幸せであろう舜の事を考えると胸が痛い2人であったが、見守ることしか出来ないことも知っていた。
舜の最初で最後の恋が少しでも長く続きますようにと祈るしかなかった。