天使の羽が降る夜に
両思い
未紅
あ~、あせったぁ。
うまく誤魔化せてるといいけど・・・。
私は姿を消すと舜の病室に戻った。
「俺の好きな子」
舜の言葉にびっくりして・・・。
「頑張ってみるよ」
笑顔で純さんに言ってる舜を見たら・・・涙が止まらなくなってた。
だって、私はあなたの命を取りにきたドジで馬鹿な天使なんだよ?
そんな私のことを好きって言ってくれるの?
純さんが帰ると私は舜が出てきていいよって言う前に姿を見せちゃった。
「なんで泣いてるの?」
私はその場から動けない。
「私のこと・・・す・・・き・・・?」
思い切って聞いてみる。
「ああ」
今、ああって言った?
私は舜を見る・・・・涙で良く舜の顔が見えない・・・。
「本当・・・?」
嘘じゃないよ・・・ね?
「うん。・・・未紅・・・こっちきて?・・・抱きしめたいんだけど」
私が舜に近づくと、腕をつかまれ抱きしめられた。
ええええ・・・ちょ、ちょっと、いきなりだと・・・ドキドキする~。
「・・・ごめんな。俺から言うつもりだったのに・・・未紅に言わせちゃったな」
私は首を横に振ることしか出来なかった。
「・・・言わないつもりだったんだ・・・だってもうすぐ魂になるのに迷惑かなって」
「そんなこと・・・」
そんなこと言わないでよ・・・。
「でも・・・言ってよかった。俺幸せだ。好きだよ、美紅」
舜のぬくもりと、「好きだよ」の言葉に私の気持ちも溢れ出す。
「私も、好き、好きぃ」
幸せ・・・舜がそんな風に言ってくれて本当に嬉しい。
「未紅。・・・ごめんな」
「・・・な・・んで・・?」
「好きになってごめんな・・・俺、お前を悲しませる未来しかないのに・・・」
悲しませる未来。それは私も‥‥。
「それは・・・私も一緒だよ・・・こんなドジな天使に好かれるなんて・・・私こそ・・・ごめんね」
「・・・じゃあ、おあいこだな」
2人でクスクスと笑う。
誤らないで・・・舜。
私たちの恋は・・・終わりが来る。
でも、そのときが来るまで・・・・側にいさせて・・・。
・・・温かいあなたの側に・・・。