天使の羽が降る夜に
「俺の時間がないことくらい、周り見てれば分かるよ・・・」
「舜・・・」
泣かないでよ未那ちゃん。
「兄貴と純ちゃんには言わないでね・・・俺が知ってること。・・・純ちゃんもすぐ泣くから・・・俺、皆の笑顔が見たいんだよね」
翔ちゃんも未那ちゃんも何か言ってよ。
「だからさ、俺からのありがた迷惑好意だったんだけど・・・」
「・・・舜、ばかだね・・」
泣きながらでも突っ込みは未那ちゃんらしい。
この機会に俺の気持ちも言っておこうか。
「俺さ、今好きな子がいて・・・まあ付き合ってるんだけど」
「「え!?」」
涙止まった?
「俺には時間がなくてさ、幸せにはしてあげられないけど、翔ちゃんと未那ちゃんは違うでしょ?これから先の未来がある・・・後悔して欲しくないんだ」
「舜」
未那ちゃん、また泣いてるし‥‥。
「・・・話し合うって言ったって・・・」
翔ちゃん、何、へたれてんだよ。
「・・なんだよ・・あのこと俺の口から言ってもいいの?」
俺は翔ちゃんの気持ちはわかってるんだからな。
「ば・・・わ、分かった・・・未那、時間ある?」
はは。相当テンパってるな。
「う、うん」
お、未那ちゃんの反応もまんざらではないみたいだし。
いい感じか?
「じゃあ、ちょっといいか?」
「分かった」
立ち上がって俺を見る未那ちゃん。
「舜、これ、土産」
翔ちゃんは買ってきてくれたシュークリームを俺に渡した。
「ありがとう・・・今度来る時は2人で笑顔で来てね」
俺が笑顔を見せると
「参ったなぁ」
翔ちゃんは頭を掻きながら苦笑いをする。
俺は2人を笑顔で見送った。
多分、今日で最後になるから‥‥俺の笑顔覚えておいてほしい。
俺も2人の笑顔、優しさ忘れないから。
未那ちゃんも翔ちゃんも笑顔で病室を出て行った。
「未紅いる?」
俺は美紅を呼んだ。
「うん」
未紅が姿を現す。
「悪いんだけど、あの2人がどうなったか見てきてもらっていい?」
「あ、うん・・・分かった」
「頼むな」
「はーい」
未紅は姿を消して、翔太と未那の元へ急いだ。
俺は翔ちゃんが買ってきてくれたシュークリームを食べる。
「ああ、うまい」
やっぱ、シュークリーム最高!