天使の羽が降る夜に
星が綺麗。
「そうだね」
『未紅、俺お前に出会えてよかったよ』
「私も・・・」
2人で海を眺めていた。
「舜は、もしこのまま生きられるとしたら何になりたかった?」
これを聞くのは辛いかなって思ったけど、聞いてみたかった。
『そうだな・・・獣医とかになりたかったな』
「獣医さん?」
『そう・・・小さい頃から動物は好きだったから』
「そっか・・・あのね」
『うん?』
「・・・ううん、なんでもない。」
『なんだよ。変なやつだな』
舜・・・あのねデートが出来ないかどうか調べていたときにたまたま目に入ったものがあってね。・・・それをあなたに言ったらあなたはどうする?
海の波の音が心地よかった。
ふっと繋いだ手が離れたかと思ったら、舜は私の肩をつかんでそっと引き寄せた。
ちょ、ちょっと・・・びっくり・・・。
でも、舜の肩に私は顔を落とした。
幸せだぁ。
こんな穏やかな気持ち初めて・・・。
それから時間になるまで名前を呼んで
『何?』
「なによ」
なんてわけの分からないことを言いながらクスクスと笑って過ごした。
「星が綺麗」
『お~、満天だな・・・俺死んだら星になるのかと思ってたけど・・・違うみたいだからな』
「・・どうかな?魂はどこに行くんだろ・・・」
『未紅の側にいてやれるといいのにな・・・』
肩をつかむ手に力が入る。
「私も・・・舜の側にいられたらいいのに・・・」
そのまま2人で海を眺めていた。
病院のベッドに戻ってきた舜をまた肉体に返す。
「舜今日はありがとう」
『うん。俺も久しぶりに外に出られて楽しかった・・・目が覚めたら体がどうなるのか考えると怖いけどな・・・。』
「ふふ・・・ごめん」
『いや・・・じゃあ、おやすみってことにしておこう』
「あはは・・・うん、おやすみなさい」
彼の魂を体に戻す。
ありがとう舜・・・。