天使の羽が降る夜に
舜
未紅が突然言い出したこと
「しゅ、舜の命が延ばせる方法が・・・あるの」
「は!?・・・まじで?」
俺、死ななくていいのか?
「生きられる時間は約50年で・・・病気は治すことは出来ないんだけど・・・」
・・・・まさか。
「・・・それってお前の命を引き換えにとかじゃ・・ないよな?」
・・・その方法ならダメだ。
「舜・・・私は舜に生きて欲しいの・・・」
その気持ちは・・・嬉しいんだ・・・でも方法がダメだ。
「そんな命いらねーよ」
お前の命と引き換えになんてムリに決まってるだろ?
俺と一緒にいた時間で・・・未紅は俺の何を見てきたんだ?
気持ちは伝わってなかったのか?
「だって・・・その方法しか・・・」
「・・・ふざけんな!!」
思わず怒鳴っていた・・・・。
「話になんねぇ・・・」
がっかりだよ未紅・・・。
「しゅ・・・」
「もう聞きたくない・・・そんな話するんだったら消えて」
未紅は姿を消した。
俺を助けるために自分の命を引き換えに・・・・か。
「はぁ」
ため息を漏らす。
いつか言い出すんじゃないかと思ってた・・・あいつは人の心に入れ込みすぎるから・・・俺が獣医になりたかったって話を聞いて、その気持ちが強くなってしまったのかもしれないな・・・。
俺はベッドに横になると目を閉じた。
・・・・眠くないはずなのに夢の中へ引きずり込まれる・・・。
そこで見えたものは未紅と大天使のやりとり。
そして・・・聖夜が未紅に見せた過去。
・・・・そうか・・・俺がどうして未紅の夢を見るのかと思っていたが・・・聖夜が見せていたんだ。
きっと未紅は同じ過ちを犯すと聖夜は分かっていた・・・。
俺にそのことをわからせるために・・・夢でみさせていたのか・・・。
こんな夢見させなくても・・・未紅の命を初めから貰うつもりなんてねーよ。
美紅の命は美紅のもんだ。
俺は決して美紅の命と引き換えになんてそんな条件を呑むつもりはない。
ふっと目が覚めるとそこには未紅の姿があった。