天使の羽が降る夜に
「未紅・・・こっちに来て?」
俺が言うと、泣きながら抱きついてくる。
「未紅・・・俺、夢で未紅の過去を見た」
「え?」
驚いて離れようとする未紅を抱きしめて離さなかった。
「しゅ、舜・・・いったいどういう事?」
未紅は腕も中でもがいている。
「・・・俺、未紅が大天使のところに戻ると夢を見るんだ・・・。未紅の気持ちが分かったのも全部そのおかげなんだけど」
「いったい何故?」
もがくのをやめて俺の顔を見る。
・・・可愛いな・・・。
「・・・どうやら聖夜が心配して、俺に見せていたみたいだ」
俺は抱きしめてる腕に少し力を込める。
「・・・聖夜さんが・・・」
「・・・昔、未紅と聖夜は恋人同士だったんだな・・・」
自分で言って・・・むかつくな・・・。
「・・・うん、でも、全然記憶がなくて・・・」
「そうか・・・」
「舜、あの・・・」
「未紅・・・」
「はい・・・」
「俺は俺の運命を変えようとは思っていないんだ・・・」
「え・・・・」
「未紅の気持ちは本当に嬉しいんだ・・・。でも、出来ない」
「舜・・・」
「未紅はこれから沢山の魂を集めていかなくちゃいけないだろ?・・・その使命をちゃんと果たして欲しい」
「・・・だよ・・・」
「未紅?」
目に涙が溢れてくる。
「・・・ムリだよ」
「・・・どう・・して?」
「・・舜のいない世界で頑張るなんて・・・ムリだよぉ・・・」
俺の胸に顔を埋めて泣く。
「ムリ・・・ムリなの・・・考えたくない・・・考えられない・・・」
未紅・・・気持ちは同じだな・・・。
俺もお前に命を貰っても・・・お前のいない世界で生きてても意味ないんじゃないかって・・・そう思った。
未紅も同じ気持ちで嬉しかった・・・でも・・・。
「未紅」
呼びかけても首を横に振るだけで俺をみようとしない。
「未紅!」