天使の羽が降る夜に
願い
未紅
ピッピッピッピ・・ピ-------
舜が・・・・・・亡くなった・・・。
いや・・・いやだよ・・・舜・・・・舜・・・・。
嘘だよ・・・嘘だよね?
「舜・・・舜・・・返事・・・し・・て・・・?」
「未紅って呼んで?・・・また・・・私をからかってよ・・・」
「眠ってないで・・・起きて・・・起きてよ・・・」
分かってる・・・もう舜は・・・でも受け入れられない・・・。
受け入れたくない・・・・。
家族の人は舜にしがみ付き泣いていた・・・。
私は・・・どうしようもなく悲しくて・・・その場にはいられなくて・・外へ飛び出した。
どこをどう飛んでいたのかは分からない・・・・着いたところは・・・海・・・。
舜と最初で最後のデートをした・・海に来ていた。
なぜ・・・どうして・・・舜じゃなきゃダメだったんだろう・・・。
どうして私たちはこんな形でしか出会うことができなかったのだろう。
なんで‥‥私も人間になりたかった。
舜と‥‥未来を‥‥‥未来を歩きたかった。
涙が止まらなかった。
悔しくて、悔しくて。
私は何もできなかった。
そばに居たのに‥‥1か月もそばにいて‥‥結局こんな結末?
天使っていったい何のためにいるのよ。
私は何のために生まれてきたの?
舜・・・舜・・・・これから・・どうやって・・・頑張っていけばいいの?
舜はもう・・・いないのに・・・・。
涙が後から後から溢れて止まらなかった・・・。
どのくらいの時間がたったのだろう・・・・。
『未紅』
名前を呼ばれて振り返る。
「聖夜・・・さん・・」
そこには聖夜さんが立っていた。
『・・・ひどい顔をしているな・・・』
「ううっ・・・」
『・・・そろそろ舜の魂を運ばないと・・・路頭に迷わせることになるぞ・・』
聖夜さんの言葉にハッとする。
大変!
私は急いで舜のいる病院へ戻った。
亡くなってから30分以内に魂を体から取り出さないと、舜の魂は路頭に迷うことになる。
舜はまだベッドの上で眠っているようだった。
私は舜に近づく。
そっと顔に触れる・・・・・まだ・・・温かい・・・。
「舜・・・しゅ・・・ん」
苦しいよ・・・舜。
さっきまで生きてたのに・・・話をしていたのに・・・嫌だよ・・嫌だよ・・・。
『未紅・・・』
でも・・・だけど・・・・舜の気持ちを無駄に出来ない・・・。
私は舜の側で祈りを捧げ・・・額にキスを落とした。