天使の羽が降る夜に
「ダメ・・・ダメよ・・・届けるんだから・・・・舜の魂を・・・」
願いを叶えたい。
魂を神に届けたい。
それだけだった。
私の中にあったのは・・・その強い気持ちだけだった。
私の思いを断ち切るかのように雨と風は容赦なく体に突き刺さる・・・。
「くっ・・・・」
どこまで・・・・どこまで運べば・・・・。
どこまでも続く終わりのない出口にくじけそうになる。
一瞬気が緩んだとき
「きゃあ~」
ものすごい風が私を吹き飛ばす。
「うっ・・・」
はぁはぁ・・・。
ヤバイ・・・。
今の衝撃で・・・羽が・・・。
私の羽は雨と風で少しずつ擦り切られ・・・飛ぶ力も少なくなっていた。
もう・・・ダメ・・かも・・・・。
はぁ・・・はぁ・・・舜・・・もう・・・ダメ・・・。
意識が飛びそうになったとき
『・・・・・紅』
持っていた魂から光が溢れる。
「しゅ・・・舜?」
光に包まれたとき・・・私の体が少し楽になった。
『・・・頑張れ・・・』
そんな声がする・・・温かい光だった・・・。
舜・・・舜・・・。
私は首から下がっている袋を抱きしめる。
なぜ・・・どうしてあなたは、魂になっても・・・こんなに温かいの・・・。
強くて・・・優しい・・・。
涙が頬をつたう。
私はもう一度気を取り直し・・・前に進む。
でも・・・体は言うことを利いてくれなくて・・・。
はぁ・・・はぁ・・・・ヤバイ・・・本当にどうしようも・・・ない・・・。
そう思ったとき
「未紅!」
ガシッっと両肩をつかまれた。