天使の羽が降る夜に
聖夜
未紅はなかなか目を覚まさなかった。
俺たち門番で未紅を神のところから、皆のいる場所へ移した。
どれくらい眠っていたのか・・・。
未紅がふっと動いた気がして
「未紅?」
側にいた俺は声を掛ける。
目から涙が溢れていた。
「しゅ・・・・ん」
未紅から発せられた言葉に胸が痛んだ。
・・・舜・・・・か・・・・。
なんだ?
なんなんだこの気持ちは・・・。
さっきもそうだ・・・未紅を可愛いと思ったり・・・舜が邪魔に思ったり・・・。
もういない舜が邪魔ってなんだ・・・・。
「い・・かな・・いで」
夢をみているのか?
それとも・・・
「一緒に・・・連れて・・・行って・・・」
俺は思わず未紅の手を握る。
待て・・・・待ってくれ。
舜・・・連れて行くな・・・・未紅を・・・連れて行かないでくれ・・・。
俺では役不足なのは分かってる。
お前に勝てないことも分かってる。
でも、未紅の側にいたい・・・頼む舜・・・未紅を連れて行かないでくれ!!
「舜!」
舜の名前を叫んだ未紅は・・・・ゆっくりと目を開けた。
「未紅」
「未紅!」
「・・・聖夜?」
目を開けた未紅は・・・記憶を取り戻していたばかりか・・・・大天使にまで成長していた。
周りの皆や大天使様までが、その成長に驚くばかりだ。
「聖夜・・・ありがとう」
未紅が俺をみて優しく微笑む。
舜に向けられていた笑顔とはほど遠いが、その笑顔が嬉しかった。
俺の胸を締め付ける。
「未紅・・・よかった」
気がつくと俺は涙を流していた。
こんな気持ちは初めて経験する・・・・いったい俺に何が起こったというんだ・・・。