妹A ~5人兄弟+1~
駿は黙って理彩を抱き寄せた。



「オレは…最低だ。理彩にここまで言わせて」



理彩はただ次の言葉を待つしかない。



「オレは…」



別れ話を切り出そうとしていた駿は、理彩の必死の言葉に動揺していた。



理彩も悩んでいた…



ただ、見つけた答えは違う。



駿の気持ちの隅っこがぐらつき始める。



「オレは…今いったん離れても、また必ず2人の道は交わると信じてる。理彩、今、君は自分の為に時間を使う時だと思う。それに…みんなに隠して付き合うにも限度がある。もしバレたら…。いくら覚悟していても、理彩が失うものは大き過ぎる」



このまま関係を続ける事は、理彩にとって不利な事しか起こらない。



しかし、自分のしようとしている事が理彩の幸せに繋がるのか気持ちが揺らぎ始めていた。



駿の描く、理彩の未来を守って別れるべきなのか。
理彩の望む、未来へ情熱で突っ走るのか。



いつも冷静沈着な駿の心は初めてパニックになっていた。

< 108 / 301 >

この作品をシェア

pagetop