妹A ~5人兄弟+1~
「そうだ。この写真集はお勧めですよ。見てるだけでほんと癒されますから」



優は棚から1冊の本を取り、つかさに手渡した。



「空…の写真ですか?」



「空の色んな表情が写してあって面白いですよ。同じ青空でも全部違う。夕暮れの空なんて色が最高ですよ。絵の具じゃ出ない…」



優は会釈すると立ち去ろうとした。



「あっ、あの…!昨日、海に…釣りに、連れて行ってくれるって言いましたよね?」



優が行ってしまわないように慌てて叫んだ。



「えっ?あぁ……言いました」



優の笑顔にこそ、癒される。



つかさはそう思った。



「あの…、もし…、もし、ご迷惑でなかったら本当に連れて行ってもらえませんか?私も空と海が溶け合うのを見たくて」



ドキドキしながらも、何故か『今しかない』と、勢いで言った。

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