妹A ~5人兄弟+1~
第7章 オレンジ色が溶ける空
―押さえつける心―
優は誰もいなくなった台所で、まだじっとしていた。
時間が…気になる。
「時計、壊れてるんじゃねぇの?」
いつもよりかなり動きが遅いような気がする。
いつだってそう。
楽しい時間はあっという間に経って、待っている時間は何倍も長く感じる。
この不条理にはいつも疑問を抱いていた。
人の心の持ちようで、こんなにも感じ方が変わるものが他にあるだろうか。
「でも、人に平等に与えられているのは時間なんだよな」
力無く、ぽつんと呟いた。