妹A ~5人兄弟+1~
第8章 時間のカエリ道
―帰り道―
「スバルは?」
風呂から上がった優が髪を拭きながら台所に入って来た。
「まだだよ。バイトじゃないの?」
食器を片付けながら朋が後ろ向きに答える。
「いや、今日は入ってない」
優はチラッと時計を見た。
「子供じゃないんだから大丈夫だよ。ほんと優にぃはスバルの事子供扱いしすぎだよ」
朋はサッサと綺麗に食器を片付けて蛇口をキュッと閉め、タオルで手を拭く。
その一連の動作が慣れていて違和感ない事に優は胸が痛んだ。
「はいよ」
朋は冷蔵庫からよく冷えたビールを取り出して優の前に置く。
「サンキュ」
プシューッと爽快な音を立てて缶を開け、ゴクッと喉を鳴らした。
時計の針は夜の8時を指している。
「まだデートしてるんじゃないの?」
優の斜め前に座っていた空が週刊マンガのページをめくりながら、ちょっと意味ありげな口調で言った。