妹A ~5人兄弟+1~
つかさはふいに背伸びをすると、スバルの胸に手を置きながら、顔を上に向けてゆっくりキスをした。



「!!!」



つかさの髪の甘い香りがスバルの嗅覚を支配し、柔らかい感触がくちびるから全身に伝わって行く。



その瞬間、スバル目当てで本屋につめていた女子高生が一斉に悲鳴を上げた。



静かな店内が一気にざわつく。


つかさはゆっくり離れると、スバルの腕を取り横に並んだ。



「これで彼女達、もう来ないわよ」



「お、お前…」



女子高生の悲鳴を聞いた数人の店員が、スバルの方へ走って来た。



さすがにスバルも焦る。



「あっ、何でもないです!ゴキ…ゴキブリが出たんです。もう大丈夫です。退治しましたから。すみません、お騒がせ致しました!」



スバルは必死に客と店員に謝った。



次第にざわつきも収まって行く。



例の女子高生達は泣き出していたがスバルには気にする余裕がなかった。



「…おい!」



ようやくスバルは後ろのつかさを振り返った。



「…つかさ?つかさ!」



つかさはどこにもいない。



「くっそぉ…。オレのファーストキス……」

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