妹A ~5人兄弟+1~
第4章 動き出すココロ
―動く―
「雨…かよ」
さっきまでの夜の風景はいつの間にか重い雲に覆われ、ポツリポツリと雨粒が落ち始めていた。
「天気予報はほんとあてになんないよなぁ」
脇に抱えた茶色の大きな封筒を確認する。
付いた滴をそっと指で拭った。
愛おしそうに。
「走るか…」
優は封筒を大事そうに抱えると走り出した。
「腹減ったぁ」
時計は11時をとっくに過ぎている。